4.農⼭漁村[⾥⼭・⾥海]

課題

高度経済成長期におこった大都市への移住に伴う過疎化。エネルギー革命や木材輸入自由化が、林業を基盤とする地場産業の衰退を引き起こし、著しい人口減少と高齢化が進行するとともに、結束の強い人間関係が移住者を受け入れにくくしている固有の風土もあり、コミュニティ自体の消滅という危機に瀕しています。また、戦後に植林され、現在伐採期を迎えながらも放置された人工林は荒廃が始まり、表土流出による水害や野生動物による農作物の被害や事故等、私たちの生活に影響を及ぼしつつあります。

展望

本来、自給自足を前提としたライフスタイルを連綿と持続してきた村落は、水や食料、エネルギーの自立性が高く、貨幣を介さない伝統的な経済流通の習慣が残っていることも多く、自然災害に対応する生活の知恵が伝承され、潜在的にレジリエンスを備えていると言えます。加えて豊かな自然環境や自然と寄り添うライフスタイルには、都市生活では得られない癒しやアクティビティがあります。リモートワークの発展形としてのワーケーションやスローオフィスといった、クリエイティビティを刺激するワーキングプレイスとしての可能性を予感させます。このようなビジョンを展開するためには、情報インフラや居住施設の整備に加えて、地元住民と移住者とのマッチングやフォローアップを担う人材や団体の活躍が求められます。

事例ご紹介(クリックで詳細をご覧いただけます)

古民家再生

中山間地域に建つ古民家の再生計画です。明治時代より養蚕の為に使われてきた民家を、ギャラリーとイベントスペースにリノベーション。建物と庭を一体的にリ・デザインしました。
微気候デザインを採用し、裏山からの冷気を建物に取り込みつつ、前庭の池からも涼しい風を導くことで、夏に涼しい心地よさを自然の力で作り出します。
また、古民家の南側にある休耕田の一部を利用し、水を張って浅い池をつくり、デッキやブリッジを設けた池泉式庭園のイメージで設え、都市部から訪れる人やインバウンドを対象とした、日本の文化を紹介する場としてデザインすることにより、地域の伝統的な景観を守りながら、新たな用途に生まれ変わった古民家が地域の魅力を高めます。

テレワーク&農

農家の高齢化や後継ぎ問題で営農が困難となった農地を活用するモデルとして、“ファーム&オフィス”を提案します。クラインガルテンは、週末の農作業に親しむレクリエーションですが、“ファーム&オフィス”は畑の中にワーキング・スペースを持ち込んで、晴れた日は農業、雨の日はデスクワークをする。心と身体をバランスよく使い、自分で育てた作物を食べて健康になる、新しいライフスタイルの提案です。
小部材を使用し、セルフビルドが可能なコンパクトなユニットですが、自分で建てた小屋で農作業とデスクワークに取り組む楽しみは、どこか秘密基地に似た遊び心をくすぐる空間です。

テレワーク&キャンピング

森林のキャンプ場に新たなオフィス空間を創造し、クリエイティビティを刺激するビジネス環境を提案します。キャンプ場の持つ宿泊・食事・水回りの施設を利用しながら、移動可能なオフィス・ユニットを林の中に配置します。基本的なオフィス機能を受け持つコピー機や自販機を備えた“ユーティリティー棟”やリモート会議のできる“コンベンション棟”などと連携し、中・長期の滞在が可能なサテライト・オフィスとして計画します。
個人利用からプロジェクトチーム、企業の単位まで多様なグルーピングに柔軟に対応可能なユニットレイアウトは、大自然に囲まれた環境で、都会にはないリフレッシュを取り入れたビジネスと余暇の過ごし方を体験できます。また、乗用車1台ほどの小型のユニットは、樹木を伐採せずに木々の間に設置することで、自然環境へのダメージを最小限にとどめる環境配慮型の施設計画とします。

まちづくりコーディネート

暮らしのデザインを中⼼に「まちづくり」をトータルコーディネートいたします。

住環境創造コンサルティング

安心・快適な暮らしをつなぐ。価値あるまちづくりをサポートします。