ミサワホーム総合研究所は、住まい方からまちづくりまで、暮らしに関する様々な住文化情報の研究・発信を行っています。
研究員の大谷は、世界各地の歴史的な都市やまちを訪れ、その情緒ある景観を透明水彩の素朴なタッチで描き留めてきました。歳月を重ねた暮らしの中から醸し出される魅力を、その場所が持つ住文化や伝統に纏わるエピソードと共にご紹介します。

ロンドンから西へ車で3時間ほど。コッツウォルズ地方に、イングランドで最も美しいまちのひとつ「テットベリー」があります。教会や家、牧草地を囲う低い塀や橋は、この地方で採れる黄褐色の石灰岩で造られ、別名「はちみつ色のまち」と呼ばれています。
私がセント・メアリー教会近くの橋のたもとでアーチ越しに牧草地と家のある風景を描いていると、ツィード・ジャケットの紳士が現れ、このまちが中世に羊毛の取引きで栄えたこと、このアーチ橋は240年ほど前に造られたことなど、親切に教えてくださいました。
中世からほとんど時が止まったかのように、暖かくしっとりとしたテットベリー。このまちを愛する人たちが、幾世代にもわたって暮らし、守り続けてきた伝統と誇りを感じる風景。デザインはシンプルですが、ゆっくりとした時の流れに溶け込む家や橋、牧草地と羊のシンフォニーが、訪れる人々に安らぎと感動を呼び起こす美しさの秘密のようです。
(画・文 大谷宗之)







