MISAWA

テクノロジーラボ 住まいの素材、構造や工業化のテクノロジーなど住まいづくりに
関わる研究の一部を科学的な視点からご紹介いたします。

ヒートショックとは

2016-12-08

「ヒートショック」とは温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動する等によって起こる健康被害のことを指し(図1)、正式な医学用語ではないため、統計データはありませんが、特に冬季入浴時に多く発生しています1)。

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            図1 冬季住宅における室間温度差が招くヒートショックの危険性

ヒートショックの影響は高血圧や心筋梗塞等の循環器系に既往歴のある人や、高齢者に対して特に影響が出やすいため、室間温度差を5℃以内2)、冬季の最低室温を18℃以上3)に保つことでヒートショックの危険性を和らげることができるとされており、最近では床表面近傍温度の上昇も冬季起床時の血圧上昇緩和に有効との研究成果4)もあります。

断熱・気密性能の低い住宅では、室間温度差が大きくなりやすいだけではなく、ただ単にエアコン等を使用して室温を上げるだけでは床表面近傍温度が高くならないことから、ヒートショックを引き起こす危険性が高くなります(図2) 4)。

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              図2 居間における床から高さ0.1mと1.1mの室温の関係


そのため、住宅全体の断熱・気密性能を一定以上に確保することもヒートショック対策には重要です。また、断熱・気密性能が高い住宅では熱が逃げにくいことから、日中の熱を溜める蓄熱効果が出やすくなるため、室温を安定させるためには蓄熱性能を高めることも有効とされています5)。
現在、ヒートショック対策等の健康性能の向上を図りつつ、ZEH(ゼロエネルギー住宅)による二酸化炭素排出量の削減にも寄与する住宅の開発が進められています。

1) 東京都健康長寿医療センター: 冬場の住居内の温度管理と健康について,2013.12
2) 国土交通省:平成20年度健康維持増進住宅研究委員会報告書,2009.3
3) 英国保険省:The cold plan for England,2016.1
4) 伊香賀他:冬季の住宅内における床近傍室温・外気温が起床時血圧へ及ぼす影響のマルチレベル分析,平成26年度日本建築学会大会(九州),2016.8
5) 建築環境・省エネルギー機構:温暖地版自立循環型住宅への設計ガイドライン,2015.8