≪防犯環境設計≫
防犯環境設計は「住宅周囲の環境を整えることは、犯罪に対する不安感や犯罪の発生を少なくする影響を与えられ、そのことを通じて生活の質の改善につながる可能性がある」という考えにもとづき次の4つの手法からなる。
①領域性の確保:居住者の帰属意識の向上やコミュニティ形成の促進を図ること。部外者がわかるような環境作りを目指す。
②監視性の確保:周囲からの見通しを確保するなど侵入者を監視しやすい環境とすること。
③接近の制御:犯罪企図者の動きを限定し、被害対象物に近づけないように物理的な障害を設けること。
④対象物の強化:部材や設備の物理的な強度を高め破られにくいものとすること。
※割れ窓理論
窓ガラスが割れたまま放っておかれているのが明らかな街では、犯罪が次第にエスカレートしていくという考え方。ゴミの放置や、いたずら書きは早期に改善することが大切であるとしている。
≪防犯診断≫
狙われにくく、侵入されにくい住まいとするために、具体的な防犯対策を実施する前に防犯上の弱い部分などを診断すること。
住宅の周囲の状況や時間帯などを踏まえ開口部の状況などを対象に行う。
開口部の強化などは居住者が自主的に行うことが多いが、侵入盗などの被害が発生した場合など侵入経路を含めた診断が必要な場合は専門家の協力を得ることが望ましい。
≪侵入盗とは≫
侵入盗とは、住宅の屋内に侵入して金品を窃取する窃盗のこと。侵入盗には、空き巣狙い、忍び込み、居空きがある。
【空き巣狙い】
家人が不在の住宅に侵入するもの。
【忍び込み】
夜間、家族が寝静まった住宅に侵入するもの。
【居空き】
家族が昼寝や食事などをしているすきに住宅に侵入するもの。
≪手口について≫
【無締り】
錠のかかっていない扉や窓から侵入する手口。地域によって異なるが、侵入手口としては3割を超える比率で発生している。
【ピッキング】
鍵穴にピックという細長い金属製の特殊な棒を挿入し、鍵穴内にあるピンの位置を調節して解錠する方法。
【サムターン回し】
ドアに開けた穴から特殊な形状をした棒を差し込み、ドアの内側にある施解錠するためのつまみ(サムターン)を回して解錠する手口。
【ドア錠こじ破り】
ドアをこじ破って侵入する手口。
【ガラス破り】
ガラスを破って侵入する手口の総称。こじ破り、焼き破り、打ち破り、突き破りなどがある。
※こじ破り
ドライバーでガラスをこじり、割れたガラスを取り除いた後解錠し窓を開ける手口。
※焼き破り
ライターやバーナーを使ってガラスの一部にひびを入れ、ガラスを破ってクレセントなどの留め具を外し侵入する手口。
≪部品について≫
【防犯性能の高い建物部品】
侵入手口を考慮して防犯性能が一定以上あると評価認定された部品。ドアや錠、サッシ、シャッター、面格子などが対象となっている。
【防犯ガラス】
2枚のガラスの間に30ミル(厚さ0.76ミリ)以上の樹脂でできた中間膜を挟んだガラスで、こじ破りや打ち破りに対して強化されている。
【強化ガラス】
人がぶつかるときの衝撃に対しては、普通のガラスよりも強度があるが、鋭利なもので力を加えた際は粉々に砕け、防犯上の強度は確保されていない。
【網入りガラス】
火災時の熱によってガラスが割れても、抜け落ちにくいように金網を入れたガラス。防犯上の性能はない。
【ウィンドウフィルム】
ガラス面に張るフィルムで飛散防止などの性能がある。厚さが0.35ミリ以上のポリエステル製のものが防犯フィルムとして扱われている。有資格のフィルム施工者に工事を依頼するのがよい。