キーワードから探す

まちづくり

  • LINEに送る

背景

現在、日本は、人口減少、少子高齢化、気候変動等にともなう災害リスクの増加等、様々な社会課題に直面しています。日本の人口は、すでに2010年に1億3000万人弱でピークを迎え、2050年までに9500万人まで減少すると予測されています。高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)は、2007年に21%を超え、2050年には40%程度に上がることが予測されています。この大規模な人口構造の変化により、全国的な低未利用地の拡大、経済活動の担い手の不足、国内需要の変化等、様々な社会課題が発生することが懸念されています。

国の施策

人口減少、高齢化が進む中、特に地方都市においては、地域の活力を維持するとともに、医療・福祉・商業等の生活機能を確保し、高齢者が安心して暮らせるよう、地域公共交通と連携して、コンパクトなまちづくり(コンパクト・プラス・ネットワーク)を推し進めています。人口が減少すると、医療、商業等の生活サービス施設や公共交通を維持することが困難となります。コンパクトなまちづくりの狙いは、居住区域を公共交通沿線や日常生活の拠点に緩やかに誘導し、住居と生活サービス施設との距離を短縮することにより、住民の生活利便性を向上させることです。

まちの現状

私達の暮らしにおいても、超高齢化や人口減少等の社会的な問題による影響が日々大きくなっています。郊外の分譲地では、高齢化や都心回帰等で人口が減少し、空き家の増加や商業施設のシャッター商店街化等による活力の低下が問題となっています。また、従来の分譲撤退型の手法で販売されたケースでは、一次取得者が一時期に多数入居を開始する為、ある年数が経過すると入居者が一斉に高齢化を迎え、まち全体が一斉に衰退してしまうという現象が起きています。「持続可能なまち」にする為にはどのような施策が必要かを検討し、まちの再生に繋げていくことが求められています。そのためには、まちに継続して入居者が転入するしくみや、多様な世帯が暮らせる環境が必要です。元入居者のリターンを促したり、多様な世帯が暮らせるようにするためには、「魅力あるまち」へ再生し、入居者がまちに愛着をもってもらうことが大切だと考えています。

経過年数から対策を考察

ミサワホームでは、創立50週年を迎え、初期に手がけた古い分譲地では、入居から40年以上経っているケースも出始めてきました。入居時に30~40代の一次取得者を想定した場合、入居から40年が経ち、年齢が70~80代になると、暮らし方においても様々な変化があると考えられます。高齢化に伴う、自動車免許の返納もその一つです。特に郊外の分譲地においては、日常の移動手段を自動車とすることが多く、自動車免許の返納による生活への影響はとても大きな問題となります。また、入居から50年が経ち、入居者の年齢が80歳以上になると、高齢者施設への転居や入居者の逝去に伴い、空き家となる住宅が増加すると考えられます。まちにおける移動手段の対策や空き家の利活用等の検討が、「魅力あるまち」への再生には必要だと考えています。

MaaSが実現する社会へのまちの備え

MaaSとは、Mobility as a serviceの略で、「移動のサービス化」を意味しています。様々な交通手段を活用して最適な行き方を提案してくれたり、様々な交通手段の決済が一括でできる、というサービスです。これらのサービスが充実すると、今よりも移動が便利で快適なものになります。現在、自動運転技術やコネクティッドカー、カーシェアリングサービス、ライドシェアなどMaaSに関連する新しい技術やサービスの開発が行われ、各地で実証実験が行われています。MaaSにより移動手段の価値観が変化すると考えられています。移動手段は個人で車等を“所有する”するのではなく、サービスとして“利用する”時代がくると言われています。高齢化からくる身体能力の衰えや免許返納によって、移動手段の変化を余儀なくされ、生活が不便になることが問題となります。それらの解決手段としてもMaaSは期待されています。これからのまちづくりは、MaaSが実現する社会におけるまちの在り方を研究し、MaaS時代に対応できるまちの備えを今から検討しておくことが重要だと考えています。

空き家対策

人口減少、高齢化に伴う社会問題として空き家問題があります。全国の空き家の総数は、2013年の住宅・土地統計調査調査(総務省)では820万戸(空き家率13.5%)となっています。野村総合研究所は、今後空き家はさらに増え続け、2033年には、2167万戸(空き家率30.4%)になると予想しています。入居者が不在で管理がされていない空き家が及ぼす悪影響は、防災・防犯、衛生、景観など多岐にわたります。空き家は、リフォームや適切な管理をすることによって、物件の市場性を維持し、不動産として有効活用することが可能です。ミサワホームが手がけた古い分譲地においては、入居から40年以上が経過し、空き家となる住宅がこれから更に増加すると考えられます。これらの空き家問題の対策として、空き家の利活用方法の提案が重要となります。空き家の利活用によって、生活の利便性の向上、コミュニティの活性化、健康増進に繋がるような提案を検討していきます。また、空き家未然防止も必要だと考えています。これらの空き家対策の研究も「魅力あるまち」への再生に繋がると考えています。

グリーンインフラ

「持続可能なまち」の施策として、健康増進に関わる取組も重要な要素となります。健康で豊かな生活を送るためには、自然環境を活かしたまちづくりが必要だと考えます。自然を活かしたまちづくりの手法としてグリーンインフラという考え方を用いた取組が注目されています。グリーンインフラとは、「グリーン(自然)」+「インフラストラクチャー(社会基盤整備)」のことで、自然の持つ多様な力を積極的に活用して、人々が暮らしやすいまちをつくる方法です。例えば、屋上緑化やレインガーデンによる雨水流出抑制等がその一例です。ミサワホームにおいても、微気候設計など自然の力を活用して快適な住環境を家づくりやまちづくりに積極的に取り入れてきました。そうした自然の力を活用したまちづくりをこれからも推し進めることで「魅力あるまち」の再生を実現させていきます。まちに緑が増えることで健康で快適な暮らしや、防災・減災による安心安全なくらし、自然環境を守ることで生物の多様性の保全する環境配慮型のくらし等様々な効果が期待されるとともに、まちの資産価値の維持にも繋がります。グリーンインフラを「持続可能なまち」の施策に広く展開していけるように研究を進めていきます。