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子ども達が描く夢を応援します
教育支援プログラム「南極クラス」

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「南極クラス」の様子(2022年)

ミサワホームと南極の関わり

ミサワホームは、1968年に初めて南極昭和基地の建物「第10居住棟」を受注しました。以来、現在までに36棟、約5,900㎡の建物を供給しています。(2022年9月現在)

また、ミサワホームグループ社員を、南極地域観測隊員(設営担当)として、第17次南極地域観測隊に初めて派遣し、2022年に出発する第64次隊まで、合計19名を派遣しています。また、第50次隊からは毎年派遣しています。

南極昭和基地の自然環境は?

日本の主要な基地である南極昭和基地では、過去に冬はマイナス45.3℃まで気温が下がりました。また、1年の3分の1は風速15m以上(台風の強風域に匹敵)の風が吹き続け、時には風速60mにもなる事もあります。その風は雪を伴ってブリザードとなります。

また、昭和基地は、東オングル島という南極大陸から約4キロ離れた島にあります。周囲の海は氷で閉ざされていますので、海氷上のルートを確認しながら、南極大陸へ雪上車で行く事ができます。

半世紀以上も取組している理由とは?

ミサワホームは、ハウスメーカーであり、創業以来、住宅の高度な工業化を目指しています。
建築現場では誰が建てても、高強度、高気密、高断熱、高耐久の同じ住宅が出来上がる事が重要です。そのためには、部材製作から現地への輸送、建築工法、アフターメンテナンスにいたるまで、大きな一つのシステムとして機能する事が求められます。

地球上で最も厳しい環境の一つである南極に、建物を供給するという事は、過酷な自然環境から隊員を守り続ける住宅性能があるという事です。南極観測船しらせで1万4千㎞を輸送するために、部材は軽量コンパクトでありつつ、輸送中の衝撃にも耐えられる強度を持つ事。研究者やしらせの乗組員など建築に素人の人でも建てられる工法であり、且つ、品質も守られる事。南極の短い夏期間の約1ヵ月で完成できる工期等々。これは、まさしくミサワホームが目指している高度工業化住宅のあるべき技術と同じです。過酷な南極の地で鍛え上げた技術を、国内の建物にフィードバックする。それが半世紀以上にわたり、南極に挑戦し続けている理由です。

社員が南極観測隊員になると…

ミサワホームグループでは、隊員候補選出のために、毎年、全国で社内公募を行います。
本人の希望はもちろんですが、上司が認めて推薦する事を必須としています。
隊員を希望する社員は、日頃の仕事もコツコツと努力を積み重ね、職場の同僚、上司からも信頼されて、社内公募に応募し選考されます。選出された社員は、言うなれば大人になってから夢をかなえた者です。

極限の地である南極では、1年間、30名前後の少人数で、発電、造水、生活全般を機能させ、研究を行わなくてはなりません。すなわち小さな国を運営するようなものです。そのためには、隊員同士お互いが支え合う事が何より大事です。自分の専門だけにとらわれず、様々な分野に対応しなければなりません。 この様な経験が、人に磨きをかける事になります。帰国した社員が一回りも二回りも成長している姿は、とても頼もしく感じます。

南極クラスを始めたきっかけ

2011年3月11日、東日本大震災による甚大な被害。特に津波襲来地域の壊滅的状況を見て、その地域の復興は、その時の子ども達がこれから何年、何十年とかけて進めていく事になると思いました。全てを流されてしまった子ども達に、私たちは直接夢や希望を与えることはできないけれど、それでも何とかしてあげたいと思った事が、この活動の発端です。4月初旬に被災地支援について、社内で様々な取組を検討・実施する機会があり、その中で子ども達への支援として、スタートする事になりました。

教育支援プログラム「南極クラス」の誕生

励ましや、楽しみで悲しい気持ちを癒すのも大切な事ですが、私たちは、子ども達に将来の夢や希望について、自らが考えるきっかけを与えたいと思いました。それこそが復興の力になると思ったからです。

では、私たちはいったい何ができるのか?と考えた時に、幸いにも、ミサワホームグループ社員には、努力して自らの夢を叶え、極限の地で培った絆と様々な経験を持つ、元南極観測隊員の社員がいます。その彼らが講師となって、自らの言葉で、子ども達に語りかければ、必ず伝わるものがあるはずです。 講師一人一人が自らの経験に基づくメッセージを子ども達へ投げかけ、それを聞いた子ども達が、自分自身の夢や希望を考えてもらいたい。また、今現在、夢や希望をそれほど考えていない子ども達は、大人になってから初めて夢をもって、その夢を実現するために努力した講師の話を聞いて、自分の可能性について自信を持ってもらいたい。

この様な願いのもと、南極観測事業の中枢的実施機関である国立極地研究所の協力、教育関係団体の協力を得て、南極クラスが誕生しました。

プログラムと運用

産官学・地域連携による「南極クラス」実施イメージ

講師が全国の学校等へ出向いて講演を行う出前授業として実施しています。学校の校時に合わせて小学校では、45分+休み時間+45分の2校時で実施しています。(中学、高校も同様に2校時で実施)理科や社会の単一教科分野のみならず、隊員たちの仕事内容や職業観など、総合教育、キャリア教育としても対応しています。
開催する学校等が負担する費用はありません。講演料、旅費交通費は全てミサワホームグループが社会貢献活動の一環として負担しています。受講人数も制限を設けていません。今まで、最小2名から最大千人超まで実施しています。

教育的視点について

講師は、自分自身の背景、経験を、自分の言葉で伝える事を第一にしています。したがって、授業のクォリティーは同じにしながらも、講師一人一人、それぞれが自分自身の経験に基づくメッセージを子ども達へ投げかけています。

大切にしているキーワードは「本物」と「体験」です。通常の授業ではなかなか触れることのできない内容を中心としたものです。授業の中では、極寒での厳しい環境、遭遇したアザラシやペンギンなどの生物、美しいオーロラや星空など、実際に講師が南極で体験した事を、撮影してきた動画、写真を見せながら解説します。

さらに、南極で実際に使用していた越冬服を着ていただいたり、風速60mのブリザードがどのようなものか、ブロアー(送風機)を使った体験や、寒さを防ぐ工夫、だれでも建物を建てられるようにする工夫など、実験を交えながら楽しく学んでいただきます。
教育的成果として子ども達から、「自分自身の夢や希望を考えるきっかけになった」「将来の仕事について考えるきっかけになった」「自分の可能性についてわくわくしてきた」といった感想が多く寄せられています。


子どもたちによる感想文

また、小学生の時に講演を聞いて南極観測隊員になろうと努力して、目標の気象大学校に合格したことを、わざわざ会社へ報告に来てくれた子もいます。

開催実績 2022年9月末時点

開催件数: 累計2,045件、205,389人
全国44都道府県で開催

ダイバーシティの新たな取組

様々な所で出前授業をしましたが、院内学級や特別支援学級など、一堂に集合できない子ども達もいます。その子達のために、ベッドの上でも個人学習でも対応できるようにと考えて、使用限定版iPadアプリとして2014年に「南極ウォークビュー」を開発しました。そして2021年1⽉に、科学的知⾒を追加してリニューアルしたiPadアプリ「南極eスクール」を無料公開し、2022年9月にWeb版をサイトで公開しました。

ミサワホーム総合研究所ホームページの「学び・お役立ち情報」内のバナーからお入りください。


受賞歴
南極クラス

2013年度グッドデザイン賞受賞
2013年度キッズデザイン賞受賞

南極ウォークビュー

2014年度キッズデザイン賞受賞