1.施工時の使用電力に焦点を当てる
ミサワホームを含むプライムライフテクノロジーズグループは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けてRE100(※1)に加盟し、様々な取り組みを進めています。住宅事業では、2020年度比で2030年までにCO₂排出量50%削減、2040年までに事業活動における再エネ化率100%達成を目指すと宣言しました。
ミサワホームグループでは、戸建て住宅でのZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及推進を重点的に取り組んでいます。そのほかにも事業活動では、製品の製造、輸送、廃棄、施工時のエネルギー使用など、CO₂ が多岐にわたる工程で発生しています。建設現場では仮設電気の使用が一定の排出要因となっているため、その実態を把握し、適切な削減策を検討することが重要です。仮設電気使用に伴うCO₂排出量は、従来は外部データに基づく推計値で算出していましたが、実測値に基づく評価と進捗報告が求められるようになりました。
本研究は、施工時の仮設電気の使用量に焦点を当て、現地調査を通じて実態を把握し、具体的な削減策を示すことを目的としています。
2.使用電力を機器別に測定
2-1.調査概要
本調査では、戸建て住宅の建設現場(表1)で、仮設電気(図1)に測定機器(電源品質アナライザ)を設置しました。そこで、電力機器別(エアーコンプレッサー、電動工具、照明・電熱機器)の使用量を測定しました。
(表1)物件概要
(図1)仮設電気
2-2.調査結果
調査の結果、施工時の仮設電気使用量は従来使用していた外部データに基づく推計値よりも少ないことが確認されました(表2)。別の建設現場においても同様の結果が得られたことにより、実測に基づく基準値をCO₂排出量の算出に使用することを決定いたしました。さらに図2に示すように、機器別の合計値では、照明・電熱機器が全体の約70%の電力を消費しています。現場では、直接的な作業以外にも、間接的に電力を消費する場面がありました。例えば、室内暖房や飲料の保温に投げ込みヒーターやセラミックファンヒーターを使用する場面などが見受けられました。
(表2)調査結果
(図2)調査結果(機器別合計値)
3.施工時のCO₂排出量を削減する方法
電力機器別の使用量が明らかになったことで、CO₂削減に向けて効果的な対策を講じることができるようになりました。以下、調査・検討を行った具体的な方法を紹介します。
案1.エネルギー効率の向上(省エネ)
電気使用量の約70%を占めていた照明・電熱機器について、機器のエネルギー効率を向上させることで使用量の削減が可能です。具体例として、投げ込みヒーターを保冷温庫に切り替えることで約84%の削減(※2)、セラミックファンヒーターを輻射式ヒーターに切り替えることで約25%の削減(※3)が見込まれます。また、使用量が全体の約20%を占めているエアーコンプレッサーについては、例えば、出力をハイパワーモードからAI モードに変更することで約20%の削減が見込まれます。
案2.再生可能エネルギーの導入(創エネ・蓄エネ)
建設現場に発電・蓄電設備を設置し、これらから機器へ電力を供給することで、仮設電気使用量の削減が可能です(図3)。ただし、蓄電池を導入するにあたっては以下の注意すべき点があります。
〈蓄電池の選定と使用方法〉
蓄電池から電動機器へ電力を供給するには、蓄電池の定格出力が電動機器の定格消費電力を上回る必要があります。ただし、電動機器へ直接電力を供給するとき、図4に示すように、機器の起動時に瞬間的な大電流(突入電流)が発生します。
(図3)建設現場の発電・蓄電設備例
(図4)突入電流
そのため、蓄電池の瞬間最大出力が電動機器の瞬時電力(※4)を上回るよう考慮する必要があります。(※5)
瞬時値を考慮した上記の基準を満たす蓄電池は現状高価であるため、電動工具を充電式へ切り替えることを推奨します。なお、国内の蓄電池で瞬時値を考慮しなくても充電器に安定して電力供給できることを確認しています。
また、蓄電池使用時には法的な確認も重要です。エアー釘打ち機を蓄電池に接続して使用する場合、鉄砲刀剣類所持等取締法に基づき「空気銃」として規制対象となる可能性があり、警視庁に確認を取るなどの適切な対応を推奨します。
4.今後の展開
本研究では、現地調査を通じてCO₂排出の具体的な要因や対策が明らかになりました。今後は、関係者全員が当事者意識を持ち、省エネ化の取り組みを強化するとともに、建設現場への再生可能エネルギー導入を積極的に推進します。また、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルの実現を目指し、持続可能な社会の創出に貢献してまいります。
※1 企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ
※2 投込ヒーターSCH-900の消費電力量3262Wh(実働8.9h)および充電式保冷温庫CW001G(外気温0℃/保温60℃設定 /1充電使用時間8.5h)に装着するバッテリーBL4050F×2本のフル充電に要する消費電力量517Wh(カタログ値)の比較
※3 ファンヒーターKDSF-VS12(W)の消費電力1200W(カタログ値)および輻射式ヒーターDCTS-A092の消費電力900W(強モード,カタログ値)の比較
※4 交流回路におけるある瞬間の電力
※5 おおよその目安として
◆電動工具の瞬時電力の最大値は、定格消費電力の約3~10倍
◆エアーコンプレッサーの瞬時電力の最大値は、定格消費電力の約2倍