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家のある風景 Vol.03 京都の町家と五重塔

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ミサワホーム総合研究所は、住まい方からまちづくりまで、暮らしに関する様々な住文化情報の研究・発信を行っています。
研究員の大谷は、世界各地の歴史的な都市やまちを訪れ、その情緒ある景観を透明水彩の素朴なタッチで描き留めてきました。歳月を重ねた暮らしの中から醸し出される魅力を、その場所が持つ住文化や伝統に纏わるエピソードと共にご紹介します。

 世界各地から多くの人々が訪れる日本の古都「京都」。そのイメージの代表格が町家と五重塔ではないでしょうか。間口が狭く奥に深い京町家は、通りに玄関や窓が直接面する独特のまちなみを醸し出しています。中に入ると、高い吹抜けや意匠を凝らした坪庭など、外観からは想像できない魅力たっぷりの空間が広がっています。

 また、五重塔は、お釈迦様にまつわる仏教寺院の施設と言われていますが、現在では日本の古都を象徴するアイコンとして、地域全体の景観的資産にもなっています。

 京都の風景で私の印象に強く残るのが、東山の法観寺「八坂の塔」界隈です。眼下に町家を睥睨(へいげい)し、見上げる参道から一直線に天へと立ち昇るその姿は、訪れる人々の心を一瞬にして鷲づかみにします。

 千年を超える歳月に耐えてきた五重塔の木造建設技術は、東京スカイツリーがお手本にしたことでも知られています。奈良時代からの匠の面目躍如と言えるでしょう。

(画・文 大谷宗之)

 

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