2.郊外住宅地

課題

大都市への人口集中に対応するべく新規に開発された郊外住宅団地(ニュータウン)は、ニューファミリーと呼ばれる結婚・子育て期を迎えた団塊世代の暮らしの場として、1960年代より都市近郊に急速に建設され、職場は大都市へ、暮らしは郊外といったベッドタウンを形成し活況を呈しましたが、やがて単一世代の一斉入居が地域の高齢化を招き、オールドタウンと化してゆきます。ショッピングの撤退や学校の統廃合といった公益・利便施設の縮小による生活環境の悪化や空き家の増加、コミュニティの崩壊という構造疲労に直面しています。

展望

ITを活用したリモートワークによるワーキング・スタイルの多様化がもたらす職住近接の新たな暮らし方は、通勤による混雑や渋滞を回避するとともに、暮らし・仕事のベースとなる“まち”に興味を持ち愛着を感じることで、家族の在り方や地域コミュニティを新たなステージに導くブレークスルーを予感させます。高齢化したニュータウンに再び多様な世代が仕事や子育てを持ち込むことによって、空き家、空き地の利活用が進み、それに伴って新たな生活サービスや支援サービスが地域の公益的なポテンシャルを押し上げ、多世代・多用途がミックスした活気ある“リニューアルタウン”へと生まれ変わることが期待されます。

事例ご紹介(クリックで詳細をご覧いただけます)

新規住宅地 まちづくりコーディネート

⼋王⼦みなみ野シティ 結びのまち コンサルティング

⼈や団体、企業、専⾨学校、⼤学がつながることで、プロジェクトは具体化していきました。

昭和55年の用地取得から、およそ38年にわたって公民学が手を取り合いながら、大規模な開発が進められてきた八王子みなみ野シティ。その新たなプロジェクトが「結びのまち」です。八王子市をプロジェクトサポーターに迎え、日本工学院八王子専門学校・東京工科大学やFARMART・畑会といった地域の学校・団体と事業協力を行いながら、住宅生産振興財団とハウスメーカー10社がつくる大規模コミュニティ(114区画)のまちづくり。ミサワホーム総合研究所は、まちづくりコーディネートを担当しました。多世代の方が心地よく暮らせるだけでなく、地域や社会が抱える課題をも解決していくために多くの叡智を結集したプロジェクトです。

結びのまちをブランディングするにあたり、八王子市の東南部地域の現状と課題の調査資料を取得しました。みなみ野地区の結果を見てみると「学生が多い街なので、住民同士のつながりが希薄だ」「コミュニティが衰退している」という住民の不満や地域の課題が改めて浮き彫りになってきました。そうした様々な課題に向き合い、解決していくために「色んな人々が自然とつながる仕組みやアイデアが大切で、住まいを循環させたり、世代を超えて若い人から高齢の方まで多世代がともに暮らせないだろうか。」そんな風に考えました。

そこから最終的なコンセプトにつながる「多世代MIX」というキーワードにたどり着きました。地域が抱える課題には、コミュニティの希薄化に起因しているものが多くあります。そのために、まち単体で考えるのではなく、地域ともつながるための仕組みづくりを行ったのが「結びのまち」です。「多世代MIX」というキーワードをより具体的にしていくために、まずは八王子みなみ野シティを知るためにまち歩きをしながら地域の魅力と課題を色々と発見しました。例えば魅力のひとつが、「結びのまち」計画地北側に位置する小比企町の農地。約30haの農地が広がっており、計画地からは歩いてわずか4、5分。この農地と将来の住民とつながることができたらと考えました。一方で課題としては、八王子みなみ野シティ周辺には過去にデベロッパーさんが開発した古い街が点在しており、エリアを歩いていると高齢の方が多いというのは感じました。30年後の「結びのまち」を想像しながら、同様の課題を抱えないようにするにはどうすればいいだろうかと。そうして見つけた魅力や課題を踏まえて、関係団体や八王子市へ相談を持ちかけたのが次のステップでした。人や団体、企業をひとつひとつつないでいくことで、ゆっくりですがプロジェクトが実現に向けて成長していったと思います。これら地域の課題が分かり、地域の人々がつながる「場」が必要であると考えました。そこで結びのまちの集会施設を住民のコミュニティを育む交流拠点(住民寄付書籍による図書館)として企画・設計デザインしました。この場を「ころりん」とネーミング。2020年4月から2年間、ミサワホーム総合研究所が運営管理します。その間すまいコミュニティマネージャーが適宜常駐(週4日程度)し、既成住宅市街地のコミュニティ連携の知見を取得します。そして今後市内の既存住宅地で応用する手法を模索します。将来的には多世代の交流拠点となり、周辺住宅地の住民ともつながり、いざという時災害時の拠点にもなります。備蓄倉庫や太陽光発電や蓄電池を備え、ミサワホームが考える「微気候デザイン」を採用しています。入居世帯が半数を超える頃、住民による管理組合を設立、「ころりん」は管理組合に寄贈され、住民自らが運営する計画となります。

メインゲート
この先のクルドサックにクラブハウスを設置
ライブラリーを併設したクラブハウス「ころりん」
隣接の⼩⽐企町にある住⺠専⽤農地「もぐもぐファーム」

既成住宅市街地の再生研究

八王子市住宅地研究プロジェクト

・周辺の既存住宅地再整備へ向けた「公・民・学」連携、これからのまちづくり提案へつなげていきます。2020年度から2022年度の3年間、4者にてまちづくり研究を行います。

 <具体的な実施内容について>
(1)新しい住宅地から住宅市街地形成の状況把握と市場分析
・「八王子みなみ野シティ結びのまち」の購入者・検討者にアンケートを実施。
・居住選定した基準や居住後の地域資源を活用したライフスタイルの形成等について分析し、選ばれる住宅地・持続型住宅地のスキームを体系化。

(2)地域の魅力を活かしたまちづくりの研究
・豊かな自然資源などのある地域において、二拠点居住やシェアオフィス・テレワーク住宅などの地域の魅力を活かした既成住宅市街地と空き家の有効活用策の可能性を検討。

(3)持続可能な住宅市街地づくりに向け、住宅ストックの適正な循環を促進
・過去の一時期に分譲された既存住宅市街地において、空き家予防や利活用の手段について実物件にてシミュレーション。
・既存住宅ストックの適正な循環方法を検討。

■各者の主な役割
・東京都八王子市       :データの提供、行政施策の研究等
・一般財団法人住宅生産振興財団:事務局・総合調整等
・日本工学院八王子専門学校  :まちづくりワークショップの開催支援の研究等
・ミサワホーム総合研究所   :市場調査分析の研究等

「八王子みなみ野シティ結びのまち」まちなみ
住宅地の区画イメージ図
中央に結びのまちの交流拠点「cororin」

まちづくり・資産活用・福祉施設 住環境コンサルティング

cha-cha town 千葉県富津市障がい者グループホーム

■計画の概要
 本計画は障がい者が地域住民との関わりを持つ機会を増やし、自立した生活を送ることができる場としてのグループホームをつくる事です。具体的には障がい者やご家族の為の住まいと勤務スタッフが住まう建物等、複数の異なる住まいを組み合わせ、くつろぎと安心を提供できる新しいコミュニティをデザインしました。実現したコミュニティは中庭を囲む6棟の建物で構成。そのうち3棟は障がい者グループホーム、2棟は主にグループホーム利用者のご家族や高齢の保護者を想定したシェアハウス*1としています。残りの1棟は当グループホームに勤務するスタッフとその家族が入居する建物としており、郊外住宅地において職住隣接に対応した住まいの計画です。敷地の中心にはくつろぎの空間となる「中庭」や「コミュニティ食堂」を設けました。またグループホームと近隣住宅地をつなぐ「フットパス」緑の小径を設けることにより、コミュニティ内の交流の促進を図ると共に、地域との共生も考慮しました。(*1:介護サービスを提供するものでは御座いません)本計画は2018年度のグッドデザイン賞を受賞しました。

障がい者の住まいを取り巻く課題
cha-cha town の中庭
初期段階のイメージスケッチ
中庭は居住者や地域住民の交流の「場」に
共有のリビング・食堂(左)
敷地内を通り抜けることができる「フットパス」を設置(右)

まちづくり・資産活用・医療施設 デザインコンサルティング

千葉県流山市 おおたかの森ウィメンズケアクリニック

地域を育み、感動を生み、女性を癒す産科医院の計画

 計画地は千葉県流山市、つくばエクスプレス(TX)流山おおたかの森駅から徒歩圏内にあり、住宅地の一角になります。本クリニックは個人オーナーによる医療施設になります。  敷地北西にあたる「まちのコーナー」に大きな窓を配置し、お向かいの保育園や街路をほんのりと照らす行燈デザインとしました。  また室内は柔らかい色彩を基調とし、入院や診察で訪れるママどうしの交流を自然と促すデザインとしました。出産後ママ友さんの交流促進につながることを期待し、2階食堂をライブラリーのあるラウンジとしています。

 千葉県流山市の人口は、2014年17万人を超えてから1年弱で、約17万3千人となりました。さらに、流山市では出生率が、年々、高くなっています。平成16年度には、流山市の合計特殊出生率は1.14で、国や千葉県の出生率を1割程度下回っていました。その後、子育て世代の住民誘致により、流山市の出生率は毎年高まり、平成23年度には、流山市の出生率は国や県を上回りました。平成25年には、流山市の合計特殊出生率は1.5で、千葉県1.33、全国平均値1.43を大きく上回りました。その結果、平成25年度、流山市は15歳未満のこども増加率が、65歳以上の高齢者の増加率を上回る、千葉県唯一の自治体にもなっています。子育てするなら流山というキャッチフレーズも生まれています。

交流拠点の2階ラウンジ兼食堂
柔らかい色彩の受付と待合い室
おもてなし空間の入院個室
建物コーナーは、まちを照らします

まちづくり・資産活用・コミュニティデザイン コンサルティング

千葉県柏市南柏の賃貸集合住宅

 不整形な敷地に工夫されたRC造45世帯の賃貸集合住宅の計画。土地オーナーへの資産活用提案です。計画地は千葉県柏市、JR常磐線南柏駅から徒歩圏内になります。コンセプトは、子育て世代から高齢者までやさしく暮らしやすいデザイナーズ賃貸集合住宅の計画です。
 設計デザインは飽きの来ない洗練された外観デザインとし、地域に愛されるまちなみデザインを目差しました。住民の交流拠点となる1階には、中庭やコミュニティーホールなどを設定し、住まう人々が快適に過ごせる空間を設けました。

分譲予定地の風環境の把握に関する調査

浦安マリナイースト21における風環境の把握に関する調査

ミサワホーム総合研究所では、計画地の立地・気候特性調査や、計画地の風・温熱環境予測・評価、生態調査などを行っています。
本件では、強い海風の影響が懸念される東京湾岸の海浜埋立地において、風環境に配慮した良好な住環境をつくるために以下の調査を実施しました。

概要
①アメダス気象データの解析および現地風環境、生態調査
②計画中の住宅地の風環境予測・評価
③伝統的な防風対策や近隣の植栽状況を踏まえた防風・減風に関する計画指針および夏季の室内通風に関する計画指針作成

依頼主 :浦安マリナイースト21 分譲事業共同企業連合体
提案  :株式会社ミサワホーム総合研究所
実施場所:千葉県浦安市

風環境調査結果

冬季:N風
年間:E風
夏期:SWS風

街区の微気候デザイン(効果予測・提案)・住宅街区のコンセプト作成・入居後調査

街区全体の微気候デザイン・まちづくり整備事業のコンセプト作成(熊谷市)

ミサワホーム総合研究所では、建築地の立地環境や周辺の気候風土にもとづき、街のコンセプト策定、独自のパッシブクーリングアイテムや街区計画などによる「微気候デザイン」を提案しました。また、入居後も継続して効果測定を行っています。

概要
案件名 :「エムスマートシティ熊谷」
実施場所:埼玉県熊谷市
実施内容:コンセプト提案、まちの微気候デザイン提案、入居後調査

  • ・街の風・熱環境シミュレーションによる効果予測
  • ・「涼を呼ぶまちづくり」の企画および実現
    (風の通りに配慮して街区を計画、さらに街の中にクールスポットを点在させる設計などの提案)
  • ・全棟ゼロエネルギー住宅とし、太陽光発電システムや燃料電池、HEMS、EV充電用外部コンセントの設置
  • ・室内でも涼しさを体感できる通風・排熱を促すプランニング
  • ・住民自身の環境行動を促す仕組みづくり
    街区内の気象計「まちの気象台」で観測したデータから、涼が得られる窓開けや打ち水のタイミングを解析し、住民専用の Web サイト「SORA-MOYO」への公開や、住民向けの説明会や樹木のお手入れ講座を開催した

既成住宅市街地の調査研究

郊外住宅地居住者の交通利便性評価(川崎市)

日本の大都市圏郊外では、1970年代~1980年代に多くの大規模な住宅地が開発され、現在、高齢化が進んでいます。
更に、丘陵部に開発され坂道が多い住宅地も少なくありません。そうした地域で自家用車の運転や長距離の歩行が困難になってからも住み続けるためには、移動手段を確保することが重要な課題となります。課題解消のため新たな交通サービスが期待されますが、その導入に当たっては、地域ごとの交通利便性に対する主観的な満足度や、それに影響を与える要因についても、適切に把握したうえで検討を行うことが望まれます。

郊外住宅地居住者の居住環境に対する主観的な評価を整理するとともに、その主要な要素となりえる「主観的な交通利便性」に影響を与える要因を明らかにすることを目的としています。その調査結果を用い、要因を明らかにするための手法として決定木分析を行いました。

調査概要
  • 対象地域:神奈川県川崎市麻生区の新百合ヶ丘駅を中心とした地域
  • 対象者 :対象地域内に居住するミサワホームオーナー337世帯(ミサワホームが行った分譲地(オナーズヒル新百合ヶ丘(1985~)、プライムタウン新百合ヶ丘(1987~))のオーナーも含む)
  • 調査方法:アンケート調査

コミュニティ緑道・電線類地中化

ゆるやかにカーブするループ状の区画道路と、まちの中央をネットワークするコミュニティ緑道により、変化のあるまちなみと安全な歩行空間をデザインしました。整形な敷地に対してゆるやかなカーブを持つ開発道路を計画し、各宅地の間口×奥行を微妙に変化させ、多様な敷地プロポーションとなる土地利用計画とすることにより、プランバリエーションが豊かになると同時に建物配置に“ずれ”が生じ、表情豊かな街路景観と良好な日照・眺望を得ることができます。
中央に配置されたコミュニティ緑道は、歩行者の移動の利便性を高めるとともに、日常の安全なコミュニケーションの空間として、住人の暮らしに溶け込む“路地”として設えました。また、各宅地の駐車スペースの床仕上げを統一し、隣同士を連続させることにより、歩道をイメージさせる広がりのある街路空間を作るとともに、電線類地中化方式を採用し、電柱・電線のないスッキリとしたまちなみを実現しています。

レンタルオフィス構想

昭和の高度成長期に建設され、50年を経た郊外大規模住宅団地(ニュータウン)は現在、居住者の高齢化や空き家・空き地の課題が顕著となってきました。感染症対策をきっかけとして広まったリモートワークや在宅勤務が浸透する中で、こうしたニュータウンの未利用地を活用する新たなビジネス・プレイスを提案します。
在宅でのテレワークを行っているビジネスパーソンに、徒歩で利用できるオフィス空間を団地内に設置することで、家族に気兼ねなくリモート会議に臨むことができて、セキュリティを保ちながらプリンターやスキャナーなどのOA機器を備えた、まちなかで快適に仕事ができる環境を提供します。

まちづくりコーディネート

暮らしのデザインを中⼼に「まちづくり」をトータルコーディネートいたします。

住環境創造コンサルティング

安心・快適な暮らしをつなぐ。価値あるまちづくりをサポートします。